真実と事実
今回は真実と事実について書いていきたいと思います。
あるドラマの中で出てきた「真実は人の数だけある」という言葉です。
正直私は真実はひとつだと思い込んでいました。
某アニメでも「真実はいつもひとつ!」の決め台詞にあるようにこのドラマを見るまでは何の疑問も持っていませんでした。
真実を辞書で調べてみると「うそ偽りのないこと、本当のこと。」とあります。
普通だったらやっぱり真実は一つだと思ってしまいそうです。
しかしそのドラマの中で例として出てきたのは、「AとBが階段でぶつかって、Bが落ちてケガをした」というシチュエーションです。
Bは日頃からいじめを受けていて、Aはいじめている認識など全くなく遊んでいるつもりという場合です。
Aは日頃からいじめていないと思っており今回はたまたまの事故だと主張します。
しかしBは日頃からAにいじめられていたわけですからわざとぶつかってきたと主張します。
人は主観でしかものを見られないのですから、どちらも自分が正しいと思い込んでいるのです。
どちらもウソをついていなくても真実は食い違うということです。
また別に一部始終を目撃していたCがいれば、また更に違う印象をもつかもしれないということです。
真実はそれぞれの主観や感じ方によって違ってくるので人の数だけあるということです。
しかし真実に対し、事実は一つしかありません。
事実を辞書で調べてみると、「実際に起こった事柄、現実に存在する事柄。」です。
今回の例からすると、事実はAとBがぶつかってBがけがをしたということです。
事実は揺るぎようのない実際に起こった出来事です。
うそ偽りがないとついついその証言を疑うことなく信じてしまいます。
しかし冷静に第3者の視点でどの部分が揺るぎようのない事実なのか、またどの部分の真実が含まれているのかを意識して公平に見極める目が必要なことだと感じました。
心理カウンセリングをしているとほとんどの人は主観で話をしてきます。
その場合はほとんどが真実となります。
真実はその人が思い込んでいることですから、自分でも気付かないうちに不確かなことで振り回されている可能性が大きいのです。
人は主観でしかものを見られないのですから、「何であの人は私を傷つけるようなことを言うの!」となり人間関係に悩んだり、不満を持ち我慢をしたりして苦しんでしまうのでしょう。
心理カウンセラーはクライアントの話をしっかりと傾聴し、真実なのか事実なのかを見極め、それをクライアントに正しく伝えていくことこそが役割なのではないかと感じました。
これまで何の疑問も持たずスルーしていた言葉も、少し心にとめてもう一度反芻し調べてみることで新たな発見もあります。
それは本でも、テレビでも、漫画でも何でもいいので常にアンテナを張り続けることは大切なのだと感じました。
皆さんも心の中のアンテナを意識してみてくださいね。きっとあなたの発見があると思います。