プルースト効果
今回はプルースト効果について書いていきたいと思います。
プルースト効果と聞いても知らない人がほとんどだと思います。
プルースト効果を簡単に説明すると特定の匂いが、それに結びつく記憶や感情を呼び起こす現象のことです。
これは誰もがこの匂いを嗅ぐとこの時を思い出すといったことはあるのではないでしょうか?
例えば私はバスの匂いがずっと好きではありませんでした。
その理由は幼稚園に行くときバスに乗って通園していたのですが、私は幼稚園に行くことが好きではなかったのです。
幼稚園に行ってしまえば友達と遊んだりして楽しかったのですが、バスに乗る時の寂しさがずっとありました。
それからバスに乗って通学や通勤ということはなくなったのですが、たまにバスに乗ると幼稚園時代の寂しさという感情を思い出していたのです。
他にも小さいころ住んでいた家の庭に金木犀の木があり、今でも金木犀の花が咲くころその匂いが自然に匂っただけでも懐かしい気持ちになり心が穏やかになります。
匂いが何故記憶にアクセスしやすいのかと言うと、これは少し専門的になるのですが五感には視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚があります。
そのうち嗅覚を除く、視覚、聴覚、味覚、触覚の4つは知性が宿る大脳新皮質を経由し、記憶を司る海馬へと送られます。
しかし嗅覚だけが大脳辺縁系や視床下部に直接送られるため、他の4つよりも感情や本能や記憶に働きかける力が強いと言われているのです。
(ちなみに大脳辺縁系は情動の表出や情動をもとに運動系や自律系を統合した本能行動を支配する本能の部分と言われています。)
このコラムを書こうと思ったのはテレビを見ていた時に芸能人の方が言っていた言葉でした。
その芸能人の方は元アイドルで今はバラエティー番組で活躍されている方なのですが、アイドル時代の握手会の時に、その時に一番売れている香水を付けていたというのです。
その理由は一番売れている香水であれば街中でもたくさんの女性がその香水を付けており、その匂いを嗅いだ時に自分の
ことを思い出してもらうようにしていたとのことでした。
その芸能人の方がどの位心理のことを学んでいるかはわかりませんがかなり効果的な策略です。
握手会に参加した人は憧れのアイドルと一瞬でも触れ合うことができるめったにないチャンスです。
その時の喜びや感動が匂いとセットになるのです。
そして日常生活でその匂いが自然と香るだけでそのアイドルとの記憶を無意識に呼び起こしてくれるのです。
そのアイドルのことを忘れられませんよね?
実際に匂いを活用した効果的な営業活動も可能かもしれません。
ある相談者が畳屋さんをしており、「お客様にハガキでDMを出しているが効果がない」と言われていたので「技術的に実現可能かどうかわかりませんが、そのハガキに畳の匂いを刷り込ませたらどうですか?」と言ったことがあります。
新しい畳の匂いというのは日本人にとって新鮮な気持ちの良いイメージを持つ人が多いと思います。
そこで嗅覚に訴えることができれば効果的だと私は思ったのです。
そのDMはさすがに無理だったみたいですが、今の時代なら遠くに離れている人にも匂いを届けることができる機械なんてのもできそうな気がします。
五感の中でも一番効果的に記憶にアクセスできるのを知っておくと、自分のメンタルコントロールにも活用できると思います。
元気がでたり、やる気がでたりする自分にしかない匂いを一度探してみてはいかがでしょうか?