忘れること
今回は忘れることについて書いていきます。
忘れるということは人の長けた能力の一つだと私は思います。
全て忘れないということは良いことだけではなく辛かったり苦しかったりした感情などもずっと忘れることができず何かをきっかけにその時の感情がそのまま思い出されまた同じようにまた苦しむことになるのです。
ここで脳について少しだけ書きます。
脳にも容量があり脳の記憶容量は10テラバイト(DVD1176枚分)くらいらしいです。
つまりコンピュータのようにどうでも良いことなどを全て忘れずに記憶するということはすぐに容量がいっぱいになってしまうということです。
また脳には短期記憶と長期記憶があり、どうでもいい記憶というのは1日経てばほとんどのことを忘れていきます。
勉強などしていると「コンピュータのように一度記憶したことは忘れずにいたい」と思うことがありますが、これは一時的に短期記憶に記憶しているわけです。
この記憶を忘れずに長期記憶に定着しようとするとどうすればいいかと言えば、それは皆さんも経験済みの同じ情報を何度も繰り返し覚えるという作業です。
ここで長期記憶に定着させるために大事なことは覚える作業と思い出す作業の2つをするということです。
また「自分の生命にとって重要だ」というようなことは長期記憶に記憶されるのです。
こういった話を理解しながら考えると、カウンセリングに来られる方には過去に経験したことが忘れられずずっとその時の感情を思い出し悩み苦しんでいる人がいます。
そしてその記憶自体を消したいとさえ言う方もいます。
ひょっとすると最初は短期記憶だったものが自分の中で繰り返し思い出し長期記憶にしていたのかもしれません。
またとても辛い感情や苦しい感情を経験し脳が「自分の生命にとって重要だ」と判断し長期記憶になっているのかもしれません。
もし自分で無意識に短期記憶から長期記憶に移行しているのであれば、どうでもいい記憶を何度も繰り返し思い出す作業をしているということに気付き変えていく必要があります。
また「自分の生命にとって重要だ」と脳が判断しているということはその感情があるからこそ同じ経験をしないように注意喚起してくれているのかもしれません。
その記憶を消すというよりは、自分の中の感情を納得するということができれば、脳が注意喚起をする必要がなくなりどうでもいい記憶に移行することができます。
人の記憶には容量があります。必要な記憶と不必要な記憶を整理していかなければ新たな情報が記憶できなくなるのです。
そのためには自分にとって不必要な記憶は忘れること、そして同じ出来事を経験しても忘れられないことにしているのはあくまでも主体は自分であり、どうでもいい記憶にするのかどうかは自分の中で判断していることに気付くことが大切になります。
自分のメンテナンスは自分でできることをもう一度意識してみてはいかがでしょうか?