抑制と抑圧

今回の内容は抑制と抑圧について書いていきます。

抑制とは意識できる感情を表出させないよう感情をコントロールすることです。
例えば腹が立つ感情など持ったときにその感情を出さないようにコントロールするなど社会的に認められた精神的態度だとも言われます。
抑圧とは心理学では自我の代表的な防衛機制で、自我を脅かす願望や衝動を意識から締め出して意識下に押し溜めることです。
その耐えられない感情などを持つことを自我が防衛機制で無意識に行います。
抑制と抑圧の違いは意識下にあるかどうかということです。
抑制は抑圧より軽いような状態です。

例えば子どもが「学校に行きたくない。」と言っているとしましょう。
その理由が「○○君と喧嘩したから行きたくない。」「学校でマラソンがあるから行きたくない。」など子どもが学校に行きたくない理由を意識的に理解しコントロールをしている状態であればそれは抑制になります。
そして抑圧は同じ「学校に行きたくない。」でも学校に行こうとすると具体的な原因はわからないが腹痛、吐き気やめまいがするなど身体的に症状が出るような心身症などです。
これは自分でもよく原因がわからないけど、何かに我慢し続けたり、ストレスを受け続けている状態が続いていることが問題なのです。

火山をイメージするとわかりやすいのですが、噴火とは形成されたマグマが蓄えられ、様々な作用を受けてマグマが地表に噴出することです。
それと同じことが言えます。
抑圧された感情は防衛しなければ自我を脅かすことになります。
その抑圧された感情は蓄えられ耐え切れず、様々な作用を受けて心身症や神経症といった症状が出るのです。
つまりそういった症状というのは、感情エネルギーが溜ったことをわかってほしいとSOSサインを送り続けている状態なのです。
このSOSサインを更に無視をすると、その症状は更に悪化したり、また別の症状が増えたりすることがあります。
自分でも無意識下で行っていることですから、気付きにくいのかもしれません。

そこで大事なのは「愛」なのです。
愛とは関心を持ち、受入れ、解放をしてあげることです。
これを自己で行うことが理想ですが難しいのであれば、他人から愛を感じることから始めても構いません。

先ほどの例で「子どもが学校に行けないのでカウンセリングをお願いしたい。」という依頼を親御さんから電話で受けることがよくあります。
依頼があれば勿論受けますが、私がまずお話することは「お子さんはカウンセリングを望んでいますか?」ということです。
子どもはまず日頃から何か言いたいことやしたいことなど願望があるにも関わらずできない環境にあるからこそ抑圧しなければならないのです。
大人であれば環境を自らの責任で作ることができます。
しかし子どもはそう簡単に環境を変えることはできません。
まずはしっかりと子どもに関心を持ち、何を望んでいるのか受入れ、その感情を開放できるよう環境を整えることです。

子どものことが心配であれこれと模索しているのですから、間違いなく子どもに対しての関心は高いのでしょう。その後の受入れ、解放まで意識し、家族がもう一度環境を見直すだけでも十分変化があるはずです。
これが常態化した無意識からの脱却につながるのです。
抑圧という防衛機制を働かせなければならない環境を作っていないか見直してくださいね。

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